イソップぐう

きたかぜと たいよう

北風と太陽が言い争っている

きたかぜと たいようは、

どちらが より つよいか、

いいあらそいました。

そして、 はじめに

たびびとの ふくを

ぬがせる ことが

できたほうが かち、

という ことに しました。

3

北風が旅人に風を吹かせている

きたかぜが さきに

ちからを ためしました。

ぜんりょくで かぜを ふかせましたが、

つよく ふかせれば ふかせるほど、

たびびとは マントを きつく

からだに まきつけました。

とうとう きたかぜは

かちを あきらめて、

4

太陽が日光を旅人に照りつける

たいようを よびつけて、

たいように なにが できるか

たしかめる ことに しました。

たいようは ぜんりょくで てりつけました。

たびびとは たいようの

ひかりの あたたかさを

かんじるや いなや、

つぎつぎに ふくを ぬぎました。

5

さいごには すっかり

あつくなってしまい、

はだかに なって、

みちの さき小川おがわに つかりました。

ちからづくで やらせるより

せっとくする ほうが いいのです。

6

カラスとみずさし

水差しと烏

のどがからからのカラスがいました。

みずさしをつけて、みずがのめるかとおもって、うきうきとんでいきました。

たどりついてみると、カラスはかなしくなりました。

みずさしのなかみずがとてもすくなくて、めそうになかったからです。

7

カラスはみずをのむためにかんがえられることをぜんぶためしましたが、むだでした。

さいごにカラスは、はこべるだけのできるだけたくさんのいしをあつめ、ひとひとつくちばしでみずさしのなかにおとしていきました。

こうしてカラスは自分じぶんがのめるだけのたかさまでみずのかさをげて、いのちびろいしました。

ひつようは はつめいの ははなのです。

8

ヘルメースとこり

斧を持つヘルメース

かわのそばでっていたこりは、まちがっておのをふかみずそことしてしまいました。ごとどうをなくしてしまったこりは、かわぎしにすわって、かなしがりました。

ヘルメースがあらわれて、こりがなぜいているか、わけを

9

きました。こりがヘルメースにぶんきたかなしいことをせつめいすると、ヘルメースはかわにもぐってきんのおのをってきて、こりがなくしたのはきんのおのか、きました。こりがきんのおのを自分じぶんのものではないとうと、ヘルメースはまたみずなかって、ぎんのおのをってきて、またこりに、ぎんのおのはこりのものかきました。こりがぎんのおのを自分じぶんのものではないとうと、ヘルメースはまたまたみずにもぐり、こりがなくしたおのをってきました。こりはそれを自分じぶんのものだとって、おのがもどってきたのでよろこびました。ヘルメースはこりのしょうじきさにうれしくなって、きん

10

おのとぎんのおのもこりにあげました。

こりはいえにもどると、なかまたちにこったことをすべてはなしました。なかまの一人ひとりはすぐ、おなじことをして、ぶんおなじようないいにあおうとしました。かれはいそいでかわき、わざとおのをかわおなしょにれて、かわぎしにすわってきました。

かれがきたいしたとおりにヘルメースはあらわれ、かれがいたわけをたずねて、かわにもぐり、きんのおのをってきて、かれがなくしたのはそのきんのおのかきました。かれはよくばりなことにきんのおのをつかんで、それこそが自分じぶんのなくした

11

おのだといはりました。ヘルメースはかれのうそにおこって、きんのおのをげただけではなく、かれがかわれたおのもかえしませんでした。

12