さまざまな個性があります。
「字が小さくて読みにくい」、「ページをめくるのが大変」、「読んでくれたら内容が分かるのに…」など、読むことの困難さにも、さまざまな状態があります。
読むことへの支援が行われないと、教科書の内容にふれることができず、学習が遅れていく原因にもなります。読むことの支援方法のひとつとして、音声教材をご活用ください。
読むことの困難さの例として、下記に12項目あげてみました。
1つでも当てはまる場合や、気になる項目がある場合は・・・
本人や保護者の方:
学校の担任の先生、スクールカウンセラーや特別支援教育コーディネーターの先生に相談してみましょう。困り感を伝えて、特別支援について検討してもらいましょう。
学校関係者の方:
音声教材は医師の診断がなくても、学校が特別支援の必要性を認めれば利用できます。どの程度の読みの困難さがあるかを判断する上で、特別支援教育の専門性のある教員と連携して、アセスメントを実施するとよいでしょう。
読むことの困難さチェックリスト
質問 1. 読んでも内容がわかっていない、理解できていないことがある
質問 2. 読み誤りがある(不正確な読みをする)
質問 3. 読むことに時間がかかる
質問 4. 文章を逐次読みをする(文字を一つ一つ拾って読んでしまう)
質問 5. 文章を勝手読みする(字を飛ばしたり足したりして、間違った読み方をしている)
質問 6. 特殊音節(みゃ、ぎゃ等)を読むことが苦手
質問 7. ひらがな、カタカナを読むことが苦手
質問 8. 漢字を読むことが苦手
質問 9. 単語の切れ目が分かりづらい
質問 10.字を読むと疲れる
質問 11.字が見えにくい
質問 12.ページめくり、抑え等の紙の教科書で必要な動作が苦手
読むことの困難さを把握するためには、読み書きに関するアセスメントの実施はとても重要です。しかし、「読み書きの心理検査を実施してくれるところがない」、「検査の予約から実施までに長い時間がかかってしまう」などの理由で、支援の提供が遅れてしまうことがあります。そうなると、児童生徒の学習に長い空白が生じる原因ともなってしまいます。
心理検査などのアセスメントの実施を待ってから支援を行うのではなく、「指導上の工夫や支援、つまり介入をまず行って、その介入への児童生徒の反応を客観的に確認することで、介入をしながらニーズのアセスメントを行う」というアプローチがあります。これは「RTI(アール・ティー・アイ:Response to Intervention/Instructionの略)」と呼ばれています。この考え方は、日本の教育現場でも知られるようになっています。
RTIの具体的な方法として、音声教材を活かすことも可能です。例えば、「ひとつの単元で、音声教材を導入して、本文を音声で聞いて理解するという指導上の工夫を実践してみて、児童生徒の文章の読みの理解度がどのように変わるのか」を確認します。この介入の結果、児童生徒の読むことに関する学習意欲や学習態度がどう変わったか、単元の理解度テストの成績が介入していない時と比べてどう変わったか、などを評価します。児童生徒本人の「目で見て読むよりも楽になった」といった感想も大切です。
このようにRTIでは、まず介入してみて、それで起こった児童生徒の変化そのものが、個々人のニーズ・アセスメントや、指導上の工夫の効果のアセスメントにつながります。心理検査によるアセスメントの前に、こうした方法もぜひご検討ください。
客観的な検査や評価により、読みの困難さの内容や程度を明確にすることができます。
困難さを明確にすることで、今後必要になる配慮や指導法を検討したり、配慮申請をする際、根拠を示すことができます。まずは、学習のベースとなる知的発達の程度と、学習するために必要なスキルである読み書きの「速度」と「正確性」をアセスメントするところからおすすめします。
学ぶ環境(学年や年齢平均)と比べ、言語の力や読み書き、学習定着度がどの程度差があるのか、把握することが目的です。必要に応じて、視知覚検査や音韻検査なども実施しましょう。
アセスメントの例
・知的発達の確認 ・・・WISC-IV、KABC-Ⅱ
・読み書き速度の確認 ・・・URAWSSⅡ
・読み書き正確性の確認 ・・・STRAW-R
アセスメントの種類によっては、学校で実施できず、通級指導学級担当、スクールカウンセラー、特別支援教育コーディネーターなどの協力が必要な場合や、外部機関で受検する必要がある場合もあります。
特にWISC-IVやKABC-Ⅱなどは、教育相談センターや医療機関などの専門機関でないと受検できない場合があります。医療機関等でアセスメントを受けたい場合は、実施していない場所もありますので、検査希望を伝え、検査を受けることができるか、確認しましょう。
通級指導教室で実施している場合もありますので、特別支援教育コーディネーターや通級指導学級担任に相談してみましょう。
また、読み書き能力を測定するURAWSSⅡや STRAW-Rは、特別な資格を有しない教員でも教室で実施できます。短時間で実施可能なため、まず読み書きの苦手さからアセスメントしてみるのもよいでしょう。
最終更新日:2022年3月17日