文部科学省による「令和3年度音声教材普及推進会議」がオンラインで開催されています。

例年、全国5都市で開催されるものですが、今年度は、昨年度同様、新型コロナウイルス感染症の影響でオンラインでの開催になりました。

音声教材を製作している6団体すべての資料や説明動画(YouTube)を観ることができます!

教員だけでなく、保護者や児童生徒ご本人、支援機関の方も、もちろん閲覧できます。

いつも遠方で参加できないな、と思われていた方も、この機会にぜひご覧ください!

音声教材普及推進会議 令和3年度会議配布資料・説明動画(文科省サイト)

AccessReadingの説明動画

学校現場におけるアセスメントとICT利用による読み書き支援講義の動画もアップされています。

音声教材の目的や、読みの困難さを把握するためのアセスメント、支援体制のモデルなど、音声教材を継続して利用していくために必要なノウハウが、分かりやすく紹介されています。

学校現場とありますが、学校でもご家庭でも音声教材の導入を検討されている方には、とても参考になる講義動画です。

学校現場におけるアセスメントとICT利用による読み書き支援講義

音声教材も種類が多く、どれが自分に合ったものだろうと迷われることもあると思います。

音声教材の利用は基本無料で、複数の音声教材を併用することができます。

各音声教材の特徴をまとめたもの(表1)と、音声教材を導入する時期などについての参考例(図1)をご覧ください。

利用する児童生徒の学年や教科、学びたい方法、お手持ちの機器環境などにあわせて、選べるとよいでしょう。

表1 音声教材各団体の特徴
教材名主な対応学年主な取扱い科目利用に必要な機器
マルチメディアデイジー教科書小学校・中学校全教科Windows PC、iPadやiPhone、ChromebookやAndroidなどのパソコンやタブレット端末
AccessReading小学5,6年生・中学校・高等学校全教科(地図、書写除く)Windows PC、iPadやiPhone、ChromebookやAndroidなどのパソコンやタブレット端末
音声教材BEAM小学校・中学校国語科、社会科、道徳科スマートフォン、ICレコーダー等、mp3ファイルが再生可能な機器
ペンでタッチすると読める音声付教科書小学校・中学校国語科音声ペン(申し込み時に有料で入手)
e-Pat小学校・中学校・高等学校全教科iPad、iPhoneなどのiOS機器
UNLOCK小学校・中学校・高等学校全教科電子辞書(CASIO EX-word:希望により年度末まで貸与可能)、MP3 情報端末、iPad等
以下は、学齢に合わせた音声教材導入の参考例です。

図1 音声教材導入の参考例
(日本LD学会第28回大会大会企画シンポジウム『LDの「定義」を再考するⅢ』資料を基に改編)


●小学校低学年~

 小学校低学年の方には、「ペンでタッチすると読める音声付教科書」や、「マルチメディアデイジー教科書」の利用をおすすめしています。

 「ペンでタッチすると読める音声付教科書」は、国語科目を取り扱っています。見た目は紙の教科書と見分けがつかないくらいよく似た本の形ですが、その紙面上の文字を音声ペンでタッチすると、タッチした部分の文章を人間が読み上げた録音音声がそのペンから再生されます。操作は紙面をペンで触るだけで、パソコンが不要なため、コンピューターの操作に不慣れな児童も、簡単に使うことができます。音声ペンはイヤホンを指すことができるので、スピーカーの音が外に漏れることもありません。また、音声ペンは筆箱にも入るサイズです。
 これらの特徴から、「ペンでタッチすると読める音声付教科書」は、教室でも扱いやすい音声教材です。

 「マルチメディアデイジー教科書」は、人間が朗読した録音音声が含まれているので、読み誤りや抑揚の不自然さがありません。詳しく言うと、人間の朗読による音声ではなく、コンピューターが間違いなく読み上げるように設定して録音した音声もありますが、いずれにしても、間違いなく自然に読んだ録音音声が使われています。マルチメディアデイジー教科書は、全教科対応しています。
 また、マルチメディアデイジー教科書の再生プレイヤーは、iPadなどのタブレット上で動くアプリですが、再生や設定変更の操作も難しくないものが多いです。タブレットの利用ができるようになった児童には、問題なく利用できるでしょう。


●小学校高学年・中学校~

 学年が上がると、教科書を読むだけでなく、調べ学習やノートテイク、ワークシートの活用、テストなど、学習の幅も広がります。教科書以外の文書や書籍に触れることが求められたり、読むことが期待される場面が増えていきます。
 そこで、音声教材だけではなく、調べ学習のためにウェブページを読み上げたり、教科書以外の文書や書籍を読み上げて読むために、タブレットの「音声読み上げ機能」を上手に活用することで、学習が拡がります。

 AccessReadingが提供している音声教材は、この「音声読み上げ機能」を使って読む音声教材です。あらかじめ録音された音声と違い、読み間違えたり、イントネーションが自然でないことがあります。しかし、一定の年齢以上になると、音声読み上げ機能を上手に活用しながら、学ぶ範囲や目的をどんどん広げていくことが期待されます。
 AccessReadingが提供している音声教材のうち、EPUB形式の音声教材を再生できるアプリには、いろいろなものがあります(表2)。

表2 EPUB形式の音声教材を再生できるアプリ
WindowsmacOSiPadOS,iOSChromebook,Androidブラウザ対応
Adobe Digital Editions
いーリーダー*
MyBookⅤ*
Thorium
…など
ブック(標準搭載)
Adobe Digital Editions
BookReader
Calibre
Thorium
…など
ブック(標準搭載)
Adobe Digital Editions
Cloudshelf Reader
NaturalReader Pro*
Recitator*
Voice Dream Reader*
…など
Google Play Books(標準搭載)
Adobe Digital Edition
eBook Reader
Lithium: EPUB Reader
Moon+ Reader Pro*
PocketBook Reader
Reasily – EPUB Reader
Voice Dream Reader*
…など
Cloud ePub Reader with Drive
EpubReader
…など
※この表には、AccessReadingが提供しているEPUB形式の音声教材について、日本語、英語の音声読み上げに対応しているものを例として掲載しました。
*印は有料のものになります。EPUBリーダーは他にも種類がたくさんあります。

 これらのアプリには、教科書の内容を音声を読み上げるだけでなく、本文中の単語を辞書機能で調べたり、コピーして授業の内容をまとめ直すなど、色々な機能が備わっていて、学習に役立てることができます。AccessReadingは、Microsoft WordのDOC形式の音声教材も提供しています。Microsoft Wordにも、文字や背景の色やサイズなどレイアウトも微調整ができ、自分の見えやすい形にカスタマイズできます。それに、Microsoft Wordにも「読み上げ」の機能も備わっています。

 さらに、中学生以降では、教員が自作した教材プリントの配布が増えることがあります。そうした紙のプリントも、教員からそのデータをもらえたら、音声読み上げ機能を使って内容を読み上げさせ、確認することができます。教科書の利用だけでなく、テストも同じような方法(音声読み上げ機能の利用や自分が見やすい形へのカスタマイズ)を使った上で受験できるなど、色々な活動に役立てることができます。