小学6年生の利用者について、保護者様よりヒアリングをさせていただきました。
「※」印がついているものは、事務局が追記させていただきました。

Cさんの読みの困難さについて

・Cさんは、神経線維腫症で、遠視・外斜位・複視があります。重なって見えている状態のため、読み書きに困難さがあります。眼科でICT機器の利用を勧められたことと、児童精神科でもK-ABC2を受けたところ、読み書きが苦手なため、ICT機器の利用が好ましいという結果だったため、音声教材の利用を考えました。


音声教材利用のきっかけ

・音声教材については、インターナショナル幼稚園に通っていた頃、海外の教育事情に詳しい方から、アメリカの大学やイギリスの大学には音声教科書が用意されている事を教えていただきました。

・小学校3年生の時に、社会の教科書を読むのが大変そうだったため、文科省に音声教科書を日本でも作る予定があるか問い合わせしたところ、音声教材を作っているところの一覧をもらい、その時にAccessReadingを知りました。

・小学校1〜3年生の頃は、保護者が教科書や問題など代読していたので、電子教科書の必要性を感じていなかったけれど、下のきょうだいが小学校へ入学したことで、子ども2人の宿題をみることに保護者が負担を感じたため、ICT機器の利用を考えてみようと思いました。


他の音声教材との比較

・音声教材の利用考えた時に、デイジー教科書やBEAMも試しましたが、AccessReadingはiPadについている標準の機能を使って読み上げるので、インターネットで調べたことなどへの使い方が広がっていくのが良いと思いました。

・小さい頃から英語を習っていて、英語の読み書きの方が苦手さがひどかったので、英語の学習にもiPadの読み上げ機能が使えることが良いと思いました。


音声教材導入までの流れ

・音声教材に対する知識がある人が回りにいなかったため、具体的にどうすれば良いのか分からず、まず保護者だけでAccessReadingの体験会に行きました。

・そこで保護者がやり方を見てから、本人もAccessReadingの体験会に参加してみました。本人にも直接教えてもらえたので、とてもよかったです。

・そこからiPadを買って、音声教材の利用申請をしました。本人が使い方を覚えて、使ってみようとなりました。

・また、眼科の作業療法士の勧めでLD親の会への入会を勧められ、先輩の保護者の方からの情報を整理しました。


学習に使用しているもの

・iPad ProとApple Pencilを使用。

・アプリは、mazec、タッチ&リード、音声検索、板書の撮影、ModMathを使用。

・英語はタイピングしています。スマートキーボードを使っていたが、調子が悪いので、3000円くらいのキーボードをBluetoothで使用。

・イノチグラスという眼鏡も使用。うっすらブルーのもの。遠視、近視、複視の調整をしたら、見えやすくなりました。

※「タッチ&リード」は、プリントをカメラで取り込んで文字を音声化して読みながら、答えをワープロや手書きで書き込めるという便利なアプリです。
現在提供されていませんが、「Text2Voice」「OfficeLens」「GoodNotes5」などのアプリで代用可能です。


使用場所について

・音声教材は家庭内での使用が多かったです。

・iPadで書字を行う時は、学校の通常学級、通級指導教室、宿題、塾で使っています。


音声教材やICT機器の活用方法

・最初に使いはじめた頃は、教科書を自分で聞いたり、英語の塾の宿題をスキャンして取り込んで読み上げ機能を使っていました。

・学校の場合、配布されたプリントをタッチ&リードで撮影し、読み上げ機能を使って内容を聞いていました。

・時間割や板書などは写真で撮影しています。おかげで先生の話に集中できるようになりました。

・テストは、Wi-Fi環境が無いところでも使えるよう、Wi-Fi Directに対応しているプリンターを教室におかせてもらっていて、iPadのタッチ&リードで用紙を撮影し、Apple Pencilで書いたものを印刷して採点してもらっています。プリンターは家庭で準備して、教室におかせてもらっています。


iPadを利用しての変化

・はじめは、音声読み上げはお守りみたいでした。使っていくうちに、慣れてくると、音声読み上げ機能が誤読する(訓読みを音読みに読んだりする)ため、本人が正しく意味が取れないと思うようになりました。「内容理解のために、読みが大事、文字とその読み方を覚えよう」と本人が思うようになりました。さらにこの時期に眼鏡による視覚矯正により、文字の認識ができるようになってきて、漢字学習もできるようになりました。読みの困難さは残っており、テストは大変だけど、漢字も読めるようになってきました。

・iPadを持つ前は、学習をあきらめていたが、あきらめないで頑張ろうって思うようになりました。


学校での利用について

・学校での利用は、担任の先生に、4月に2学期から学校で使えるように準備したいと相談しました。

・先生には、読み書きができなくても別の手段があることを、クラスメイトに知ってもらって受け入れてもらい、共に成長していけることが最大の支援になることなどお伝えし、4年生の1番困っている時に受け入れてほしいとお願いしました。


iPadを教室で使用して、教員やクラスメイトの反応について

・Apple Pencilで書いた内容をテキストに変換するmazecを使用し、うまく書けないから、これで清書していると説明しました。学校の先生も、はじめかまえていたのに、使い始めてみたら、本人の書いた字がテキストに変換されることで先生も読みやすくなったため、もう手書きには戻れなくなりました。

・教室のクラスメイトからは、iPadとApple Pencilは、ノートと鉛筆の変わり種という印象だったようです。iPadは皆家にあるし、うらやましいとか反応もなく、すっと入っていきました。


紙のプリントやテストへの対応

・学校では、タッチ&リードを利用しています。

・家庭では、本人から保護者に代読の依頼があります。

・5年生の7月の学力調査ではタッチ&リードを利用して受験して良いということで取り組みました。4月の学力調査では配慮無しだったけれど、7月の学力調査の方が頑張れた印象です。実際に得点も上がり、学習意欲が上がりました。


音声教材を利用しての感想

Cさんから
「良かったよ。図鑑とかあったら面白そう!」


Cさんの保護者からいただいた感想
「ハイライトが単語の固まりで音といっしょに追っていってくれるのに触れて、本の読み方を脳が学習できたと割と短期間で感じました。
看板や、表示などの書かれているものに興味を示し、保護者へ読んで欲しいという依頼が増えました。
教科書は授業で先生や友人の音読を聞いて暗記するので、難易度の高い本を読んで欲しいと親に依頼するようになった。(最近の息子のお気に入りは鳥取環境大学の小林朋道先生が書いた先生シリーズです)
iPadの音声読み上げ機能は便利だけど、正確では無いと感じ、漢字の読みを頑張るようになった。英語の読み上げでピノキオを聞いていたら、途中からスペイン語の発音に切り替わってしまい困りました。
去年の6月に作った発達する眼鏡イノチグラスとの相性が良かった事カラーレンズで光の調整プリズムレンズで外斜位、複視、遠視の矯正。漢字の書字の苦手さをiPadで補えている事で学習意欲がとても上がり学力もついてきたと感じています。
低学年の頃や、漢字書取りや計算ドリルの宿題に何時間もかかり好きな事をする時間が十分に取れなかったけれど、iPadを使用してから息子が楽しく好きなことをして過ごす時間が増えて親子関係が良くなったことが本当に良かったです。
学校の通常級でのデジタル教科書の使用を迷う親子にはとりあえず使ってみてからどうしたいか考えて欲しいと思います。
最後に、私たち家族はAccessReadingに出会い、使えたことをとても幸せに思いますし、心から感謝しています。また、より使い易い教材になっていく事を期待しています。」


Cさんから、音声教材の利用を考えている後輩へのメッセージ!

	「ネガティブなことをポジティブに考え直す。」

参考:Cさんが学習で使用しているアプリ(iPad)、役に立っているものの紹介

①ブック

 

iPadに標準搭載されているアプリです。
AccessReadingの音声教材のEPUB版を使用する時にも使うアプリです。
ブックの機能として、音声読み上げの他、テキストを選択すると、黒い吹き出しからハイライトを入れたり、メモを入力することができます。

 

図.テキストを選択すると表示される黒い吹き出し


②カメラ

 

iPadに標準搭載されているアプリです。
板書の撮影をしたり、日々の掲示物も撮影することでメモ代わりにもできます。


③mazec

 

手書き文字を認識し、キーボード入力したようなテキストに変換するアプリです。かな漢字変換もやってくれるので、キーボードと同じ感覚で手書き入力を利用できます。読めない漢字や地名、人名などを書くと、変換候補の最後に読みが表示されるので、漢字の読みの確認にも活用できます。


④ModMath

 

筆算を用いた計算ができる学習支援アプリです。カスタムキーパッドを使用して足し算や引き算を筆算を使って入力できる他、分数やルートなど複雑な計算にも対応。拡大もできます。

※掲載のタッチ&リードが現在提供されていないため、代替できるアプリをご紹介します。


⑤OCR機能があるアプリ=Text2Voiceなど

 

OCRとは、画像から文字を取り込む機能です。アプリによっては、そのまま音声読み上げに対応しているものもあります。
Text2Voiceは、黒板やプリントなどを写真に撮って、そこに書かれている内容を読み上げることもできます。手書きや縦書きにも対応。類似アプリにOffice Lens、ClipOCRなどもあります。


⑥撮った写真に書き込みができるアプリ=GoodNotes5など

 

ApplePencil等を使って手書きでメモを書いたり、PDFやWordなどのドキュメントを読み込んで注釈を付けたりできる、iPad/iPhone/Mac用ノートアプリです。紙のノートと同じように自由に閲覧・書き込みができ、PDFのテキストや書いた文字も検索できるなど、便利な機能が多く備わっています。撮った写真をノートに貼り付け、その上に手書きすることも可能です。


⑦イノチグラスなど眼鏡

今回お話を伺ったCさんは、イノチグラスを使用されていますが、他にも見え方に困り感のある方のための眼鏡店はありますので、参考に掲載します。
イノチグラス https://innochi.co.jp/
opteria-Glassias https://opteria-glassias.jp/
ジョイビジョン奈良 https://www.joyvisionnara.com/


⑧全国LD親の会

http://www.jpald.net/
LD親の会では、LDなどの発達障害に関する教育・福祉・医療・労働などの問題について、関係機関・関係団体と交流・連携しながら、研究・調査、社会的理解の向上、諸制度の創設・改善を働きかけるなどの活動に取組んでいます。
教育や医療など、さまざまな最新情報を得るのにとても役立つところです。全国に支部がありますので、お住まいの地域の親の会にお問い合わせください。