活用事例:Bさん ー 特別支援学校(肢体不自由)高等部のケース ー 家庭でも学校でも使ってみよう!

Bさんの読みの困難さについて

・Bさんは、二分脊椎で水頭症があります。視覚認知、空間認知の弱さ、視覚過敏があるため、白い光沢のある紙やホワイトボードは光って読みにくいという困難さがあります。

音声教材利用のきっかけ

・中学校に進学してから、小学校に比べると教科書の文字が細かくて読めなくなったため、家庭学習でデイジー教科書の使用を開始。その後講演でAccessReadingを知り、デイジー教科書と併用しました。

・日本語はデイジー教科書の方が聞きやすかったので、主にそちらを使用しましたが、英語は中学の時からAccessReadingでした。英語の学習に、検索、メモ、ハイライト機能が使いやすかったからです。

・デイジー教科書は高校の検定教科書の取り扱いがないため、高校からはAccessReadingのみの使用になりました。

音声教材導入までの流れ

・中学生(特別支援学級)の頃、眼鏡を調節しても細かい文字が見えない状態になりました。眼科医からもそのような状態であるという意見をもらったため、学校にお願いをして音声教材の使用許可をもらいました。

・特別支援学校(肢体不自由)に転校後は、すでに音声教材は使用している状態だったため、そのまま使用する流れになりました。

・相談先は、特別支援学校の中学部の時は、担任と教頭でした。高等部では、中学部の実績があるので、個人懇談の時に個別の教育支援計画の話し合いの中で、音声教材や機器の使用、学び方に関しての相談をすることが多かったです。担任と学年の教員や、教頭など、その時々で色々でした。中心となって教科担任に話をしてくださったりしたのは、学級担任です。

・家庭で音声教材の使い方を練習し、本人が使えるようになってから学校に相談しました。本人が使って見せ、説明をしたことで、学校での使用許可を得ました。

相談の際に感じていたこと

・肢体不自由の支援学校なので、『みんな書けません、読めません。それぐらい読めてれば…書けていれば、使わなくてもいいのでは』という先生方の考え方が根強く、本人の辛さを理解してもらいにくかったことと、どう使うのかを先生方がイメージできないため、音声教材や機器を使うことを大変な事こと、難しいことと捉えられてしまっていたことが大きかったです。

・そのため、本人がやって見せたことで、それならできそうだと感じていただけたことが大きかったです。

学習に使用しているもの

・iPad、パソコン両方を使用。
音声教材についてはiPad、ノートやワークシートについてはパソコンを使用。

・AccessReadingの音声教材は、国語、英語、理科、社会を申請。
→iPad、音声教材、いずれも学校に持ち込み、学習に使用。パソコンは学校のものを使用。

学習方法

・英語はiPadのメモ、ハイライト、検索、辞書などの機能を活用。
→品詞をハイライトで色分けし、意味などを調べた単語をメモに記載。
例)品詞の色分けは宿題として家庭で行い、新しい学習のポイントは教員が学校で指導。

三友社 Joyful English markdown Basicというタイトルのついた英語の教科書の一部のスクリーンショットのようすです。教科書の1ページが表示されており、英文内のいくつかの単語が色分けされてハイライトされています。また、矢印で薄黄色の背景色のメモを表示させた画面も示されています。

図.Bさんが使用している英語の音声教材。品詞で色分けし、メモに調べたことを記載

・学校で使用していて、ブックのメモ機能について、教員から「隠れて見えなくなってしまう」と指摘を受けたため、iPad標準アプリの「メモ」にまとめるようになりました。

iPadの標準アプリ「メモ」に転記した単語と意味がメモとして記されています。「change・・・~を変える」「a lot of=たくさんの a lots of trouble」といった単語の意味や熟語とそれを使った例文などが記されています。

図.iPadの標準アプリ「メモ」に転記した単語

紙のプリントへの対応

・教員が作成した紙のプリントは、教員からデータをもらって、USBやメールでやり取りをしています。教員によって、一太郎やMicrosoft Wordと異なるソフトで作成したり、文字の大きさ、フォントも違うため、自分で見やすいように変更して対応しています。

・紙のプリントは、DocScanでPDFにしてiPadに取り込み、UPADで文字打ちをして必要なことを書きこんだ後、Keynoteに入れるなどして対応しています。光って読みにくいといった、見えにくさの解消につながりました。(最後のページでアプリ紹介をしています)

・テストは、パソコンで対応。
国語はiPadで文章を表示させ、回答をパソコンで行うこともありました。

「読みやすいプリント、書きやすいプリント」の作成

・高等部に入学した時に、教科担任なので、なかなか中学部でしていただいたことが伝わらず苦労しました。特に作ってくださるプリントが教科によって色々で大変でした。

・そのため『読みやすいプリント、書きやすいプリント』というのを作って先生方に読んでいただきました。一番読みやすい、書きやすいといったことを元に、保護者が作成しました。

「読みやすいプリント類について」という題名でフォントや文字サイズの見本とともに、読みやすいプリント、書きやすいプリントのポイントがまとめられています。
							以下の文章はBさんの保護者が作成した「読みやすいプリント、書きやすいプリント」の抜粋です。
							学習教材としてプリント類を作成される時、留意していただいたことをまとめました。
							1.縦書きか、横書きか
							どちらも読めますが、横書きのほうが読みやすいそうです。目の動きが、横のほうが動きやすいのかなと思います。
							2.フォント
							ゴシック体でお願いします。一般的に読みに困難がある方は、ゴシック体が読みやすいと言われます。理由は、ゴシック体が一番文字全体の大きさが均一だからだそうです。
							日本の文字の美しさを意識して大きさに強調を出した文字は、一つの文字として認識しづらいそうです。教科書体がまさにそれで、紙の教科書の読みにくさの一因となっています。
							また、文字の大きさ、太さ、色も、あまり多様に変更しない方が読みやすいです。
							比較してみましょう
							ゴシック体。文字の太さが均一です。
							明朝体は、こんな感じ。太い細い線があります。
							教科書体は、より強弱があり読みにくいらしいです。
							3.文字の大きさ
							20ポイントが、いちばん読みやすいそうです。
							5.文字の色
							何色か試してみましたが、青色が一番読みやすかったそうです。白いコピー用紙の場合ということで、紙が違ってくるとまた変わるとおもいます。
							背景色を変更する方法もあり、変更できるなら白黒反転したほうが読みやすいと言っていました。こんなかんじですね。
							6.文字を書く時
							分かち書きにして、まとまりを意識していただくと読みやすいです。行間を空けるのと同じ理由です。

図.Bさんの保護者が作成した「読みやすいプリント、書きやすいプリント」の一部

・フォントについて、当時はまだUD教科書体が出る前でしたので、教員にゴシックがいいと書きました。具体的に字体や大きさ行間、色などを指定したことで、先生方にも意識して作ってくださるようになりました。(でも、まだ全員ではありません。)

・その後、個別の教育支援計画にも字体、大きさ、行間、色を書いてもらっていました。UD教科書体が出てからはUD教科書体に変更していただいています。

・一太郎が好きな先生は相変わらず一太郎ですが、ワードに変換して持ってきてくださるようになり、それを自分で大きさや字体を変更して使っています。

音声教材を利用しての感想

Bさんからいただいた感想

デイジー教科書は聞きやすかったですが、高校がなかった。音声教材を使った方が、勉強しやすい。疲れにくい、頭痛がしなくなった。

Cさんの保護者からいただいた感想

以前は、本人が勉強ができない、自分の能力が低いと思い込んでいたように思います。読み書きの困難を補いながら学習を進めていくにつれて、自分が何が苦手で、どうすればいいのかを本人が理解していくことができ、自信がつき、学ぶことに意欲的になったように思います。

Cさんの高校の教員(英語担任)からいただいた感想

音声教材を含めての感想ですが、ICT活用をするようになって、学力的に上がったこともだけれど、それよりも意欲の面が大きく変わり、積極的に学ぶようになりました。

Bさんから、音声教材の利用を考えている後輩へのメッセージ!

アクセスリーディングは、読み上げだけでなく、メモ機能や検索もできて、 勉強がしやすくなります。是非使ってみてください。

参考:Bさんが学習で使用しているアプリ(iPad)の紹介

①ブック

iPhoneやiPadといったapple製品に標準で搭載されている「ブック」アプリのアイコンの画像です。オレンジ色の背景色にピクトグラム風の白い本が描かれています。

iPadに標準搭載されているアプリです。

AccessReadingの音声教材のEPUB版を使用する時にも使うアプリです。

ブックの機能として、音声読み上げの他、テキストを選択すると、黒い吹き出しからハイライトを入れたり、メモを入力することができます。

図.テキストを選択すると表示される黒い吹き出し

「ブック」のアプリで文中の文字を選択しているようすです。
						「十日ほどたって、ごんが、弥助というお百姓の家の裏を」という文章が書いてあり、その中の「百姓」という単語が選択されています。
						選択された単語には薄青の背景色がつき、そこから吹き出しで選択内容に対するメニューが表示されます。
						メニューには「コピー・読み上げ・調べる・ハイライト・メモ・検索・共有・スペル」の項目があり、選択するとその機能を使用した操作ができるようになります。

②メモ

iPadなどのapple製品に標準で搭載されている「メモ」アプリのアイコン画像です。上部に黄色いラベルがあり、その下に白背景に薄灰色の罫線が2本引かれています。

iPadに標準搭載されているアプリです。

思いついたことを書き留める、チェックリストを作成するなど、さまざまな用途に使えます。

音声読み上げにも、もちろん対応しています。

③Doc Scan

Screen Recorder 社のソフト「Doc Scan」のアイコン画像です。黒背景に金色の枠線の四角形が描かれています。それぞれの頂点は金色の丸で囲まれており、左上の頂点の丸だけ、ピンクと青のグラデーションが施されたカメラのレンズが描かれています。

紙媒体のプリントなどを、写真に撮るだけでスキャンできるアプリです。スキャンしたものはPDFにすることができます。取り込んだ書類の角度や明るさの補正もできますし、フォルダごとに分類して保存もできます。

④UPAD

PockeySoft のソフト「UPAD」のアイコン画像です。薄青の背景の真ん中に白みがかった雲の絵が描かれ、その絵に重なるように左下から右上へ白いペンの絵が描いてあり、その中にUPADという文字が背景と同じ色で記載されています。

手書きでノートやメモ、さらにPDFに注釈やマーキングを加えたり、写真に手書きメッセージを付け加えられるアプリです。ノートの一部を拡大して細かな文字が書き込める拡大モードや、1つ前の状態に戻せるやり直し機能があるので便利です。無料版、有料版があります。

⑤Keynote

iPadなどのapple製品に標準で搭載されている「Keynote」アプリのアイコン画像です。青い背景に白いプレゼンテーション用の卓の絵が大きく描かれています。

iPadに標準搭載されているプレゼンテーションアプリです。

操作はとても簡単で、図表やイラストを描いたりすることもできます。

Microsoft PowerPointのファイルを開くこともできます。