教科学習への活用や、地域の図書館活用を将来に向けて取り組みたいと思っています。生涯学習として、普段使える図書館を活用することは、その子の余暇の充実にもつながります。声掛けだけではなかなか利用に結びつかないので、2~3回宿題として地域の図書館を利用してもらうと、リピートにつながります。一人で行って帰ってこられることも大切です。特に知的のお子さんは、貸出のみで内容は理解しているの?と言われることもありますが、貸出そのものがノーマライゼーションで、機会を増やすことが重要です。私自身、図書館に通って、書庫で乱読した時期がありました。興味で色々な書目にふれ、本を書くエネルギーを大きさを実感してきました。読書は、その筆者の数十年を1時間で知ることができます。ちょっと背伸びをして、たくさんの本を手に取ってみてほしいです。
校舎改築により、元々なかった図書室の行き場を検討した結果、学校中を図書室にしてみました。場所がなくなったから、本は置かなくて良いということはありません。
校内のさまざまな場所で、テーマごとに書架があります。
図書館配置図はアイコン化して、文字が読めなくても分かりやすいよう提示しています。
幅広い廊下を工夫して、オープンラック型書架やネット型書架を設置しました。オープンラック型は、表紙を見せた面出しで配架でき、文字が読めなくても表紙の絵や写真で選ぶことができます。ネット型は、高さを自由に変えられ、本を開いた状態でも配架できます。本を車いすの視線に合わせて下向きに傾けることもできます。貸出返却も電子化することで、簡単な操作で貸出・返却ができるため、自分でできる児童生徒もいます。
校長が読書活動を学校経営計画に明記することで、全校が一丸となって取り組めています。読書推進月間やGIGAスクール端末を活用したマルチメディアDAISY図書の活用、わいわい文庫の活用の他にも、予算の確保や取り組み紹介など、全校で行うことができました。言語活動の中に読書活動を位置づけ、校務分掌でも情報教育部に学習部も入れています。
読書習慣を身につけるため、POPコンテストや読書推進月間の実施など、さまざまなイベントを行っています。東京都立鹿本学園との共同POPコンテストでは、オンラインでの表彰式も行いました。国立成育医療研究センター内にある「そよ風分教室」の児童生徒もコンテストの表彰対象です。世田谷区立梅丘中学校の校長先生にも審査員としてご参加いただき、学校内だけではない社会的評価を得る機会となっています。
貸出返却システムから得られた統計データをもとに、次の選書につなげることもできています。例えば電車でも、絵本より鉄道雑誌の方が人気です。大人向け鉄道雑誌は、書かれている内容は難しくても、写真がかっこよかったり、車内の様子も載っていたり、喜んで読む児童生徒は多いです。
予算のなさは、寄贈や図書館の団体貸し出しなどでカバーしたり、学校予算の確保が重要です。学校予算を確保するために、学校経営計画に読書活動の充実を盛り込むことが肝心です。また、寄贈や寄付をいただいたり、公募のものに申し込むといった工夫もあります。寄贈や寄付については、リピーターになっていただけるよう、図書がどれだけ役に立ったか、寄贈者にお礼とともにセレモニーを実施しています。