吹田市は、障がいの有無にかかわらず、全ての市民が等しく読書を通じ文字・活字文化の恵沢を享受できる社会の実現に寄与すべく、令和5年(2023年)2月に吹田市視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画(吹田市読書バリアフリー計画)を策定しました。その理念を実現する場として、図書館の果たす役割の大きさを私たち司書は日々実感しています。吹田市立図書館のバリアフリー読書支援サービスの取組としては、点字図書・音訳図書・さわる絵本・LLブック等アクセシブルな資料の収集と製作、それら資料を様々な方法で必要とされる方に提供すること、学校や関係施設と連携して読書環境を整備することなどがあげられます。吹田市立図書館がこれまでにひとつひとつ積み重ねてきたバリアフリー読書支援サービスについて、より一層充実したサービスが展開できるよう、関係部署や関係施設と連携して進めていきたいと考えています。
館内整理日(休館日)を利用して、地域の支援学校と連携した「図書館体験ツアー」を開催しています。小学部から高等部までの児童や生徒の皆さんが、ゆっくり図書館を楽しむ体験ができる機会を設けています。
図書館体験ツアーでは、本の借り方・返し方を学んだり、マルチメディアデイジーの上映や絵本の読み聞かせを楽しんでもらったり、LLブック・さわる絵本などのアクセシブルな書籍を自由に読んでもらったりしています。どのような体験にするかは、図書館の職員と支援学校の教員とで、相談して決めています。この体験を通じて、図書館は楽しいところ、役に立つところという肯定的なイメージをもってもらい、読書に親しんでもらえたらと願っています。
図書館の規模に応じて異なりますが、市内の図書館には「ユニバーサルコーナー」や「わかりやすい本コーナー」があり、デイジー図書、さわる絵本、LLブック、点字本などを置いています。
他にも、手話による絵本の読み聞かせを行ったり、ブックスタート事業(絵本を介して赤ちゃんと家族の絆を深め、心豊かな成長を支援することを目的に、絵本を1冊プレゼントする事業)において、市販の点字の絵本を加えたりしています。さわる絵本は、図書館が出版社に許諾をとり、市内のボランティアの皆さんが製作したもので、学校への貸出し(団体貸出)も行っています。
図書館を利用する上で必要になることについて、難しい言葉で書かれたものだけでなく、吹田市独自のわかりやすい利用案内「りようあんない やさしくよめるLL版」を作成して、公開しています。藤澤和子先生(大和大学教授・当時)の協力を得て作成したものです。
参考:
吹田市「利用案内」ページ「りようあんない やさしくよめるLL版」が掲載されています。
DINF 図書館等のためのわかりやすい資料ガイドライン
令和5年(2023年)2月に、吹田市視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画(吹田市読書バリアフリー計画)を策定しました。計画期間は令和5年度(2023年度)から令和9年度(2027年度)までの5年間で、アクセシブルな書籍やサービスの充実、人材育成・体制の整備、情報発信や連携協力などについて、評価指標を立てて推進しています。