[野口さん]前任の学校司書さんのつながりで、ボランティアでこちらの学校に伺うようになりました。点図や拡大などの媒体変換に取り組んでいました。当時は法律もなく、ネットで点訳データの共有が行えず、活躍の場を探していたことがきっかけです。11年目になりますが、つくられたものを何とかつなげていきたいという思いで取り組んでいます。生徒さんたちには、ここでは配慮を受けてきたことを別の場所でも伝えてほしいです。自分から合理的配慮の申し出ができるように、育ってほしいと思っています。
[横井さん]はじめは訳も分からずはじめてみたところがありました。利用しやすい図書館になるように考え、みんなが余暇を過ごしたり、卒業後も図書館の利用につながるように意識して図書活動に取り組んでいます。はじめは1人で探すのも大変だった生徒さんが、だんだん1人でも読みたい本を探せるようになっていく姿をうれしく感じています。この図書館が居心地よくなるよう、また今後の図書館利用のとっかかりとして、自分で読みたい本を探せるように応援したいと思っています。
墨字の購入希望だけでなく、児童生徒や教員のリクエストからその点訳や音訳、拡大、テキスト化も受け付けており、「読みたいに応える図書館」を目指しています。
一般図書を読める形で提供するために、点字、拡大、録音、リライト版、マルチメディアデイジーなど、さまざまな媒体変換を図書館職員やボランティアが行っています。
指で読める絵本は、布だけでなくさまざまな素材から本の内容が伝わりやすいように工夫されています。視覚障害のある児童生徒の特性は多様なので、ニーズに応えられるように支援しています。(出典:書名「はらぺこあおむし」エリック・カール著、もりひさし訳、偕成社/製作:あじさいの会)
学校から国立国会図書館へ製作したアクセシブルな図書の提供も行っています。1冊の本からさまざまな媒体へと変換していくことは、読みやすい・読みたい媒体で子どもたちへ提供することが図書館の責務だからです。
センター的機能として、視覚に関わるさまざまな教育相談を受け付けています。活動の一環として、自校の児童生徒だけでなく、その保護者や、弱視級の児童生徒や担任も、本校の図書館の利用が可能です。アクセシブルな図書の貸出を行い、自宅への持ち帰りもしていただいています。弱視学級の生徒には、夏休みの課題図書のリクエストも受け付けており、そのリクエスト数は毎年増加しています。また、この学校を卒業した生徒が大学に進学した後も、教材のテキスト化支援や図書の貸出を行っています。
千葉県立盲学校の学校図書館と、2020年より専攻科教材のテキストデータの相互利用協定を結んでいます。それぞれの学校図書館で製作した教材のテキストデータについて、メールでデータ共有を行っていました。製作する教材のテキストデータが重複しないよう、メールで適宜連絡を取り合っていました。専攻科の教員と直接連絡を取り合うこともありましたが、学校図書館間での相互利用協定があるので、円滑なやり取りが行えていました。