特別支援学校の学校司書は、時間的な制約もあり、横のつながりが形成しにくいことが課題でした。そうした課題を受けて、平成19年度から物流や研修事業など、特別支援学校への支援を開始しました。また、意見交換の場がないということがあったことから、特別支援学校の図書館関係者を対象とした県交換会も開催しました。その中で、児童生徒それぞれの障害に対応したアクセシブルな資料を探していらっしゃることが分かりました。また、授業や進路指導に活用できる資料や、休憩時間・イベントで使える資料など、さまざまなニーズが挙がりました。県立図書館では、学校教育の多様なニーズに応えられるよう、郷土資料課、情報相談課、支援協力課(学校窓口)など複数の課が連携し、支援を行っています。鳥取県の読書バリアフリーに関する取組は、まだ始まったばかりです。関係団体の方々ともしっかり連携して、まずは、少しでも多くの方にこの取組を知っていただくことから始めなければならないと考えています。
特別支援学校では、様々な障がいの種類や年齢層に対応した幅広い資料をそろえることが必要となります。鳥取県立図書館では、それらの資料をできる限り速やかに届けられるよう、搬送するシステムを構築しています。また、絵本や読み物などをセットにした特別支援セットや、大活字本セットなども準備しています。これらのセット貸出は、25冊を1セットとして最大20セット貸出が可能です。貸出期間も、最長1学期間を限度に借りていただくことができるので、学級文庫などにも利用されています。
学校司書の方から、本を汚してしまったり壊したりしてしまわないかと心配のお声もいただきますが、気兼ねなく利用していただけたらと思っています。
アクセシブルな図書を知っていただくため、布の絵本、点字絵本、LLブック、大活字本、DAISY、マルチメディアDAISYをセットにしたはーとふるセットの貸出も行っています。特別支援学校の他、県内の高等学校や市町村立図書館等へも貸出しており、障がい者サービスの普及・啓発のため、人権学習や福祉の授業で使っていただくこともあります。
市町村図書館と学校図書館を2週間おきにトラックで巡回しており、1度に大量に送ることができます。急ぎの場合は宅配便で、ご希望に応じてその都度お送りしています。
県立図書館では、年間10回程度研修会を開催しており、そのうち、学校司書を対象とした研修も年3回実施しています。研修では、特別支援教育や障がい者サービスなどのテーマも取り上げています。感染症対策が必要になってからは、リモートでの取り組みも行っています。学校図書館向けの訪問相談は、年2回、県内全部の学校を基本的にすべて巡回しています。それ以外でも必要があれば相談に応じています。
選書相談の他にも、学校図書館活用の年間計画の見直し、支援が必要な児童生徒への分かりやすい館内サインや利用促進、広報についてなど、多様な相談があります。生徒さんにも、特別支援学校卒業後の図書館の利用についてや、調べ学習の方法についてお話しすることもあります。