学校図書館等における読書バリアフリー
コンソーシアム

事例5狛江市立狛江第三小学校

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学校司書 青木和子(似顔絵:筆者曰く「若い頃のお母さん」)

学校司書 青木和子(似顔絵:筆者曰く「若い頃のお母さん」)

青木さんコメント

学校図書館は、在籍する全ての児童の「読み」を保障する機関です。さまざまな児童が利用する学校図書館だからこそ、できることがあります。学校での様子を見ていますと、マルチメディアデイジーが必要な読み書きにつまずきのある児童は、必ずしも特別支援の通級や支援学級を利用しているとは限りません。生活面・行動面・対人関係に課題がなく、通常学級に在籍しながら人知れず辛い思いをし、支援を必要としている児童も多いです。そのため、担任や養護教諭・特別支援教諭・教育相談員と連絡を密にすることで子どもの様子を知り、状況に応じて利用登録し、適切な時期にデイジー資料を手渡すことが必要になっています。保護者には教育相談員が検査やアセスメントの有用性をお伝えしつつ、学校図書館ではその間の学習ブランクを作らないためにも早めにデイジー教科書で学習を補うように保護者や利用される先生方にお話しています。子どもたちの「読みの初めの一歩」を支えるのが学校図書館です。学校図書館だから出来る大切な役割を皆さんと共有できれば嬉しく思います。

事例5-1 学校から児童へわいわい文庫の貸出

  • 写真1. わいわい文庫(青版)の専用ブースが学校図書館内にあります。起動している作品:伊藤忠記念財団わいわい文庫2019Ver.BLUE 『ねこじた』 鶴見大学元木研究室・情報バリアフリー推進会作
    図書室内のわいわい文庫専用ブース

    わいわい文庫をいれたiPadを貸与

    学校図書館内でいろいろな読みを体験できることを目的として、わいわい文庫を導入しました。わいわい文庫は、伊藤忠記念財団より寄贈されたマルチメディアデイジー図書で青版と白版があります。狛江三小図書館にわいわい文庫専用の机・椅子・パソコンを置き、周りをコの字型に木のブースで囲みました。音声が出るため利用時にはヘッドフォンを着用します。誰でも自由に操作できるため、わいわい文庫の青版を起動しています。また、学校図書館に配備されているiPadにわいわい文庫の白版を入れて、読むことにつまずきを抱える児童に対してiPadごと貸出を行っています。(起動している作品:伊藤忠記念財団わいわい文庫2019Ver.BLUE 『ねこじた』 鶴見大学元木研究室・情報バリアフリー推進会作)

  • 写真2.わいわい文庫(青版)の専用ブースの様子。起動している作品:伊藤忠記念財団わいわい文庫2019Ver.BLUE 『ねこじた』 鶴見大学元木研究室・情報バリアフリー推進会作
    図書室内のわいわい文庫専用ブース

    その他の文庫の導入・運用も検討中

    今後の課題は、児童用iPadにわいわい文庫やデイジー子どもゆめ文庫・チャティ文庫を再生するアプリケーションを導入し、児童用iPadで運用するしくみを検討していくことです。(起動している作品:伊藤忠記念財団わいわい文庫2019Ver.BLUE 『ねこじた』 鶴見大学元木研究室・情報バリアフリー推進会作)

  • 写真3.さまざまな色のリーディングトラッカーがボードにかけられている様子
    図書室に常設されたリーディングトラッカー

    リーディングトラッカーの体験

    毎年3学期の図書の時間で、小学2年生の児童全員にわいわい文庫とリーディングトラッカーの説明及び体験を行っています。学校司書が読みについて悩みがあるか直接話しを聞き、読むための手段は色々あることを知らせ、子どもたちの実態を知り今後の支援に活かすのがねらいです。2年生の3学期は読みの個人差がはっきりする時期です。すべての児童が体験することで、読みに困った友だちがいたら、「デイジーを使ったら良いよ」とアドバイスができ、互いに理解し合える関係であってほしいと願っています。

事例5-2 学校図書館によるマルチメディアデイジー教科書の管理・活用

  • 写真4.校内研修資料の一部
    マルチメディアデイジー教科書の適切利用のための校内研修

    学校図書館が窓口に

    狛江第三小学校では、マルチメディアデイジー教科書の申請・管理を学校図書館で行っています。学校図書館IDを取得することで狛江三小図書館がデイジー教科書の管理部門となり、本の貸出をするのと同様にデイジー教科書を受け入れ、必要に応じて子どもたち・先生方・保護者に貸出をします。2020年9月に狛江市は、GIGAスクール構想により児童に学習用iPadを一人1台配布しました。デイジー教科書には無償で提供されているしゃべる教科書アプリがあります。2021年9月狛江市教育委員会指導室の認可が下りて、狛江市の児童用のiPadと教職員用のiPadにしゃべる教科書が導入されました。これにより読みの困難を抱える児童のiPadに個別にデイジー教科書をダウンロードして学校でも家庭でも利用することが可能になっています。

事例5-3 特別支援教室との連携

  • 写真5.公開研修会で特別支援教室とコラボした際の学校図書館の様子。読みに関するアセスメントも展示しました
    公開研修会で特別支援教室とコラボした際の学校図書館の様子。

    読み書きへの支援に連携

    狛江第三小学校には、通常学級及び通級指導教室と特別支援教室があります。学校図書館は、特別支援の先生方や教育相談員と連携し、読むこと・書くことへの支援に取り組んでいます。学校図書館ではLLブック・点字図書・触る本・外国語の本・読書補助具(リーディングトラッカーなど)を所蔵しています。これらの資料は、障害があるなし関係なく、誰でも(児童・教員・保護者・地域)利用可能です。

  • 写真6.公開研修会で特別支援教室とコラボした際の学校図書館の様子です。読みに関するアセスメントも展示しました
    読み書きに関するアセスメントも展示しました。

    検査、アセスメントには十分な配慮を

    読み書きのつまずきには、さまざまな要因があります。また、どの領域でつまずきが見られるか、ていねいに見ていく必要があります。スクリーニング検査や発達検査、アセスメントに関しては、十分な配慮が必要で、子どもの行動観察や保護者との面談も含めて、学校では慎重に丁寧に進めています。

事例5-4 利用登録確認項目リストの作成

  • 写真7.「利用登録確認項目リスト」の様式。本文にPDFのリンクがあります
    利用登録確認項目の様式

    利用者の困り感を優先できる仕組みを

    マルチメディアデイジー教科書やわいわい文庫(白版)は、どちらも著作権法第37条第3項に基づき製作された資料で、利用できるのは視覚障害その他の理由で通常の活字の印刷物を読むことが難しい児童に限定されます。マルチメディアデイジー資料を学校図書館が閲覧や貸出すためには、該当する児童の利用登録が必要です。狛江三小図書館は、子どもの発達段階に応じた支援や適切な配慮を行うために利用登録確認項目リスト」を作成しました。狛江三小図書館の「利用登録確認項目リスト」には、スクリーニング検査や発達検査・アセスメントや診断などの検査結果の添付を必要としていません。児童の困り感を優先し利用登録を行っています。