本校は知的障害のある児童生徒が多く在籍していますが、本を口に入れたり破いてしまったりと、はじめは読書に至ることが難しい方が多かったです。本を破いてしまうので渡さない、破いたら叱る、ではなく、破いてしまった場合は、また本棚から選んでもらえるように、そっと直しています。本をきっかけに、友達同士で「かして」「どうぞ」「ありがとう!」というやりとりもあり、友達を意識して文字に興味をもつケースもあります。自分で選んで読める楽しさを知ってもらうことが大切だと感じています。
通学バスプールから校舎へと通じる出入口の横にオープンライブラリーがあり、児童生徒の目に触れやすいところに図書を多数配架しています。
図書の表紙を面出しして配架する工夫は、当初肢体不自由のある児童生徒が本を手にとりやすくなるように工夫したことがきっかけでした。しかし、知的障害の児童生徒にも視覚的に本の内容が届き、情報量が増えるので、本を選んでもらう際に有効なことが分かりました。
紙芝居は透明なケースに入れ、表紙を見せて視覚的に内容がイメージしやすいように配架しています。
貸し出しの際に児童生徒は自分でバーコードを「ピッ」と読み取りさせて借りることが楽しく、それが読書のきっかけになることもあります。読書習慣を身につけるための取組みとして、読書推進月間やPOPコンテストなどを設けています。誰でもチャレンジすれば表彰される機会として、たくさんの子どもたちがチャレンジしています。
校内POPコンテスト、交流POPコンテスト、さらに読書マラソンなどさまざまな読書に関するイベントを年間通じて実施しています。こうしたイベントだけでなく、日々の図書館活用に向けて、子どもたちの発達に合わせた選書や、配架を季節ごとに変えるなど書庫の整備も、教員と他の職員が協力しながら行っています。
学校の経営計画に図書利用について記載されており、全校で取り組むことが明確になっています。情報メディア部の中にICT担当と学校図書館担当(7名)があり、各担当に主幹教諭を置き、実務を行っています。校務分掌下でいつでも動ける人材を配置し、司書教諭の専門性を発揮しています。特に毎日の本の整理整頓と共に消毒作業や機材などの確認を教員がチェックし、いつでも児童・生徒が手に取りたくなる学校図書館を目指しています。
新型コロナウイルス感染症の影響で、ボランティアとの共同による学校図書館の運営が難しくなり、色々な工夫を行う必要がありました。学校図書館閉館中は、著作権に配慮しながら全教職員による読み聞かせ動画を作成したり、司書教諭が、担任の希望に合わせて選書するサービスとして、校内貸出パックの実施も行ったりしました。買い物かごに希望する本を入れ各教室で活用してもらうサービスです。普段借りない本が選べて良いサービスになりました。マルチメディアDAISY図書の貸出も行いました。令和3年度から学校図書館を再開し、学年ごとに曜日を限定して使用し、人数制限や消毒などの感染症対策を行っています。口に入れたりした本は所定のかごに入れてもらい、他の児童生徒が触れないように工夫しています。