学校図書館等における読書バリアフリー
コンソーシアム

事例14公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 デイジー子どもゆめ文庫

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情報センター 尾川真由美<br>情報センター副センター長・デイジー統括技師 吉広賢史<br>情報センター 山田稔子

情報センター 尾川真由美
情報センター副センター長・デイジー統括技師 吉広賢史
情報センター 山田稔子

山田稔子さんのコメント

デイジー子どもゆめ文庫は、マルチメディアデイジー教科書と同じ団体が製作・提供をしています。国語の教科書で推薦されている一般図書を中心に、絵本や児童書をより読みやすい形に電子化して提供する活動をスタートしました。子ども同士で話題を共有できる本を提供したいという思いから、最近では子どもに人気の児童図書やユーザーのリクエストで受け付けた一般図書の提供も行っています。読みの困難のある子どもの読書環境整備に関連して、マルチメディアデイジー図書の製作者養成にも取り組んでいます。また、専門家や地域の支援者と連携しながら、重度障害のある方にも、マルチメディアデイジー図書の製作を担っていただいています。難しい作業ですが、やりがいと情熱を持って取り組まれており、非常に丁寧でクオリティの高いお仕事をしていただいているので、障害があっても、その人なりの工夫の仕方と努力で、製作に参加できることを改めて実感いたしました。今後も工夫や改良を重ねていきながら、誰も取り残さない、持続可能な取り組みとして、活動を続けてまいります。

事例14-1 子どもが手に取りやすい本を選書・提供

  • 写真1.デイジー子どもゆめ文庫のウェブサイト
    デイジー子どもゆめ文庫のウェブサイト

    ルビ付きのウェブサイト

    デイジー子どもゆめ文庫は、小学校の国語の教科書で推薦されている児童書を中心に、マルチメディアデイジー形式のデジタル図書にして無償提供しています。絵本から中学生対象の図書まで、さまざまなニーズを考慮して選書しています。読みに困難を持つ方が会員登録でき、本人、保護者、教員、支援者等、学校図書館、公共図書館など、個人から団体まで色々な立場の方から申請いただくことができます。マルチメディアデイジー教科書と同じ仕様で製作していますので、子どもゆめ文庫で楽しく絵本などを読んでいただき、操作に慣れたら今度は教科書を読んでみるなどの活用もされているようです。

  • ウェブサイトの「ひみつ!アイコン」
    ウェブサイトの「ひみつ!アイコン」

    読みたい本に迷ったら押してみよう

    ウェブサイトにログインしていただくことで、デジタル図書をブラウザで読んだり、ダウンロードしたりもできます。ユーザーは音声を聞きながらハイライトされたテキストを読み、同じ画面上でさし絵や写真を見ることもできます。視覚と聴覚両方を使って読書ができるため、読むこと自体の負担が減り、内容理解を促しやすく、発声や語彙の習得にも効果があるといわれています。読みたい本に迷ったときは、ウェブサイトにある「ひみつ!アイコン」をぜひクリックしてみてください。いつでもどなたでもご利用いただけます。ステキな1冊に出会えるかも。

事例14-2 紙の図書と同じ仕掛けを体験できる工夫

  • 写真3.マルチメディアデイジー図書製作中!
    マルチメディアデイジー図書製作中!

    紙の図書からデジタル化

    紙の図書からデジタル化するにあたり、原本の雰囲気を壊さないように、紙で施されている仕掛けや驚きの演出も、なるべく再現できるように工夫しています。例えば、紙の本で開くととても長いページの場合は、画像で小さく配置するのではなく、デジタルでも長い画像として配置して、スクロールして長さが伝わるような仕様にしてみたり、前からも後ろからも読める絵本は、最後のページまで再生すると、そこで終了するのではなく、はじめのページに向かってまたお話が読めるように製作しています。

  • 写真4.紙でもデジタルでも同じ感動を
    紙でもデジタルでも同じ感動を

    話題にできる読書体験に

    紙の原本の良さを、デジタルでも体験できるように工夫することで、子ども同士でも話題を共有できる読書体験になるよう、心がけています。

事例14-3 読書環境整備のためのイベント開催や製作者養成研修

  • 写真5.体験会開催の様子
    体験会開催の様子

    マルチメディアデイジー図書を体験しよう!

    子どもや保護者、教員や支援者などに向けて、マルチメディアデイジー図書の体験会や、活用報告会を、オンラインや全国各地で開催しています。オンラインでも資料等公開していますので、いつでもご覧いただけます。

  • 写真6.マルチメディアデイジー製作者養成研修の様子
    マルチメディアデイジー製作者養成研修の様子

    製作から提供まで持続可能な体制づくり

    マルチメディアデイジー図書の製作者養成研修も行っています。子どもゆめ文庫の製作は、障害のある方にも委託しており、合成音声の発音の修正や仕上げまで行っていただいています。文脈や感情も考慮し、修正する職人技です。マルチメディアデイジー図書のニーズは高く、リクエストも多いため、製作者の養成が課題です。読書環境づくりの一環として、製作から提供まで持続可能な体制を整えていくことにも取り組んでいます。マルチメディアDAISYの製作研修については、こちらをご覧ください。